1日でスマホゲームアプリを制作してリリースするまでにやったことの全て
このブログの入門動画用として1日で制作したゲーム「スライディングスライム」のAppstore審査が無事に通過したので本日2014年11月11日にiOS版/Android版を同時に正式リリースしました。
■スライディングスライム
AppStore : https://itunes.apple.com/jp/app/sliding-slime/id931952228?l=ja&ls=1&mt=8
GooglePlay : https://play.google.com/store/apps/details?id=net.asobie.slidingslime
今回はこのゲームアプリの企画制作からリリースまでにやった以下の作業についてまとめたいと思います。
- 企画
- 制作
- チューニング
- 広告設置
- デバッグ
- ストア登録
- リリース準備
- リリース
1. 企画
まず最初は企画です。
今回リリースしたスライディングスライムは、このブログのコンテンツの1つとして「入門者向けに超簡単なアクションゲーム制作方法の動画を作る」という方針が先にあり、それに合わせてアイデアを考えて行く形で生まれました。
- 入門者用だからスクロールなしの1画面で
- 攻撃とかジャンプとかすると複雑になるからそれもなしで
- なるべく動作作らないで良いようにシンプルなキャラに
- 操作は画面タップで左右に動くだけ
方針ありきだったので以上のような制約が自然に生まれ、結果、「上から落ちてくるブロックをひたすら避けるゲーム」という企画になりました。
普通はここからさらに企画詳細を詰めたりもするのですが、今回の企画はあくまでも入門動画の作成が目的。とりあえず作ってみよう!ということで実制作に入りました。
2. 制作
今回ゲーム制作に使用したツールは「インディゲームクリエイター」です。
この「インディゲームクリエイター」は、プログラミングの知識が一切不要で、クリック操作だけでだれでも簡単にゲームが作れるという神ソフトです。詳しくは前回の記事にまとめてありますので以下にリンクを貼っておきます。
プログラミング不要で誰でも簡単にスマホアプリが作れる【インディゲームクリエイター】というソフトが凄い! - 最速!!ノンプログラマのためのアプリ開発超入門
さて、実制作。今回は企画を詳細まで詰めていなかったので、先ほど挙げた制約を意識しつつ、作りながら考えていきました。
<シンプルなキャラで行くという制約>
→ ただの円をキャラに見立てて設置。寂しいので顔付ける。何となくしっくり来ない。
→ スライムとかいいんジャマイカ?とピンとくる。
→ ノリと勢いでスライムにしてみる。クオリティは低いが何となくいい味になった。
→ 動かしてみたところアクションさせないでもほとんど違和感がないことが判明。
→ よし!こいつは使える!手間かけずに済んだ!ラッキー!!w
といった感じで連想ゲームみたいなことやってるうちにキャラが完成。
次はゲームのメイン部分。「上から落ちてくるものを避ける」。とりあえずただの四角形をブロックに見立てたところ、スライムのテイストとの対比が何か素敵な感じ。よし、これでおk!と一瞬で決定!
...べ、別にめんどくさかったからじゃないんだからね!
「スライムのキャラ」と「上から落ちてくる無機質なブロック」とができたことで何となく独特の「雰囲気」が生まれたので、これを生かして『世界観』にしようと考える。
「無表情のスライムが無機質なブロックをただ無心で避け続ける」
何か禅の世界っぽい。(・∀・)イイ!!
禅は世界のZEN。クールでスタイリッシュでセレブに人気だ!(謎)
良し!スタイリッシュでいこう!ZENスタイルだ!!
と、謎の思考を瞬時に巡らせ、とりあえずクールなBGMをつけてみる。(・∀・)イイ!!
ちょっと寂しかったので、背景におされっぽいグラデを適用。(・∀・)イイ!!
さらにステージごとに背景の色調を変更してみる。(・∀・)イイ!!
といった感じで、終始連想ゲームみたいなことやってるうちにゲーム完成。
ここまで約1時間くらい。我ながら驚きの早さ(自画自賛)そして驚きの痛さ(白目)
ちなみに前回記事にもありますが、一応以下にも今回作ったゲームの制作方法の解説を貼っておきます。なお、以下の動画は初回制作時ではなく講座用に取り直して編集したものです。...ぶっちゃけ、ゲーム制作よりこっちの動画制作の方が何倍もしんどかったよ...ママン。
3. チューニング
ゲームが完成したところで改めて遊んでみると、入門動画用として短時間で制作したわりにはゲームとして悪くない、いや、むしろ結構イケてる部類ではと感じる。
作った直後だし、錯覚してしまうこともあるので友達に何人かに試してもらったところ意外にも全員「面白い」との評価。ウハハハハ!俺様は天才だ!
せっかく評価も良いのでリリースしよう!となり、最低限ゲームアプリとしてリリースできるレベルにまでチューニングすることにしました。
今回はモノが非常にシンプルなのでチューニングもほんのちょっと。
- 難易度の調整
- 演出の追加
- スタート画面作成
- ランキング設置
くらいです。
なお、この中では「ランキング設置」だけが少々勝手が違うので、以下にひとまずおおよその手順だけまとめておきます。
インディゲームクリエイターにおけるランキング設置手順
- Provisioning Portalにて発行したアプリをiTunes Connectに追加
- iTunes Connectのアプリ詳細画面にてGame Centerの項目から、新しいLeaderboardを作成する(このときLeaderboard IDを入力が求められ後ほど使用するので覚えておく)
- インディゲームクリエイターで作ったゲームの全てのフレームにGame Centerオブジェクトを配置
- LeaderboardオブジェクトをLeaderboardを表示したいフレームに配置する
- GameOverになったタイミングでLeaderboardオブジェクトのsend scoreアクションを利用してAppleにスコアを送信(ハイスコアじゃなくても毎回送信する)
- ランキングボタンをタップした時のアクションとしてDisplay default Leaderbordアクションを呼び出す(これでLeaderboardが画面に表示される)
- iTunes ConnectからGame Centerのテスト用アカウントを作成
- TestFlightを利用してアプリを配信、テスト用アカウントでGame Centerにログインし、Leaderboardが正しく動作しているか確認
4. 広告設置
さて、せっかくリリースするなら広告も入れないと勿体ない、ということで一応広告も設置することにしました。
こちらも以下にひとまず大枠だけまとめておきます。
iOS
- インディゲームクリエイターで作成したアプリケーションのプロパティからiOSオプションを選択しEnable iADにチェックを入れる
- 広告を表示させたいフレームにiOSオブジェクトを配置
- 広告を表示したいタイミングでEnable/Disable iADアクションを呼ぶ(0で非表示、1で表示)
※ フレーム開始時に広告が勝手に表示されてしまうのでフレームごとに毎回広告を非表示する必要あり - iTunes ConnectにてiAD Networkに登録
- Contract Infoから会社情報を入力
- 収益を受け取るための銀行口座を登録
- あとはアプリをリリースすれば広告が表示される(iADはAppleの広告サービスのため他広告と違ってIDなどをアプリに設定する必要はない)
Android
- AdMobに登録
- AdMob管理画面にてアプリを手動登録
- (手動登録ではアプリとの紐付けがされないのでアプリ公開後しっかり紐付ける)
- iOS用に作成していたゲームのアプリケーションファイル(.mfa)を複製しAndroid版を作成
- アプリケーションのプロパティからビルドの種類を「Android / OUYA applicaton (.apk)」に変更
- 広告が必要なフレームにAdMobオブジェクトを配置
- AdMobオブジェクトのプロパティにAdMob Idという項目があるので、AdMob管理画面にて作成したAdMob広告ユニットのIDを貼り付ける
- iAdの広告を画面に表示していたイベントをAdMobオブジェクトを利用するように修正
5. デバッグ
チューニングから広告設置まで終わったところで簡単にデバッグ。一通り自分の持ってる端末でチェックしたところ、特に問題なし。ホッと一息です。
デバッグにはTestflightを利用。ちょうど最近Apple公式のTestflightのサービスが開始されたことで、今まではtestflightapp.comにアクセスが必要だったところが、iTunesConnectからアプリを直接配信できるようになったので少し便利になりました。
なお、多数の端末チェックは、今回はノリと勢いで作っただけのゲームということで割愛することにしました。
Androidoの全端末チェックとかマジ発狂レベルなので...
あと、デバッグと称して会社が糞忙しい中LV5をクリアしようとムキになって2時間プレイしていたことは内緒ですw
6. ストア登録
デバッグも終わったのでいよいよストア登録!
審査があるのでまずApp Storeから開始します。
インディゲームクリエイターを使っているからと言っても難しいことは何もありません。エクスポータで書き出したあとは普通のアプリの審査登録と同じです。
登録にあたっては、ディベロッパー登録など間違えると大変なことが多いので解説サイトなど見ながら丁寧に。情報が古いと間違いの元なので参考にするサイトは都度探した方が良いです。
ストア登録にはアイコン画像、スクリーンショットや説明文の作成が必要なのでそちらも準備します。複数の解像度の画像必要なので少々面倒くさいように思えますが、例えばアイコンなどは1024 x 1024の画像を用意し、それを縮小していけば良いだけなのでそこまで手間というワケでもありません。
一通り入力したらいよいよ審査登録!
一発通過を願って祈願の舞を踊りましょう ←ここ大事
審査にかけたらGoogle Playでも登録します。若干の違いはありますが、ほとんど同じような作業なので勢いでやってしまいます。
Google Playでは審査がないため登録したらすぐにリリースも可能ですが、今回は同時にリリースしたいのでまだ公開はしないでおきます。
7. リリース準備
App Store審査待ちの間にリリースの準備をします。
今回はせっかくなので「プレスリリース」も送ってみることにしたので、リリース文章を作成し、リリース当日にアプリ紹介サイトに送信する準備をします。アプリ紹介サイトごとに若干フォーマットが異なるので少々面倒ですが、DL数を伸ばすにはアプリ紹介サイトで紹介してもらえると凄く大きいので、ここは頑張ってコツコツと準備します。
アプリ紹介サイトはうまく掲載されれば大きいですが、他のリリースとの兼ね合いなど時の運の要素があるので、「当たればラッキー」くらいの心持ちで他の仕掛けもします。
新着時のDlは新着ランキングの関係で非常に重要。よって、初期のわずかなDLもバカに出来ないためfacebook,twitterなどの投稿の準備もします。
…なお、友達などにも直接根回しすると良いらしいが、友達は少なかった模様。(´・ω・`)
予算などがあればリリースに合わせて広告の手配などもありますが、今回はこれにてリリース準備も終了。
あとはAppstoreの審査が無事に通るよう、毎日お祈りをかかさずに待つだけです。
8.リリース
祈りが通じたのでしょうか!?奇跡的にAppstore審査が一発で通過しました!最終確認していよいよ公開設定です!( ゜∀゜)ヒャッハー!!
といってもリリース時にやることはそんなにありません。先述の通り予め準備しておいたプレスリリースの送信やソーシャル発信など粛々とこなします。
予め準備さえしておけばやることがほとんどないので少々落ち着かない気分に。
まだ始めたばかりなのでアクセスがほとんどないですが、もしかしたらどこかで紹介されるかもしれないですし、とりあえず役に立つ記事になりそうなのでブログにも書くことにしました。←今ココ
まとめ
今回の記事を見れば一目瞭然。そう、インディゲームクリエイターなら、ちゃんとリリースできるゲーム制作が簡単にできます。しかも圧倒的に早く!です。
ぶっちゃけ、リリース関係の方が遥かに面倒ですが、ディベロッパー登録は一度だけだし、ストア登録も慣れてしまえば簡単。リリース準備はそれなりに大変ですが、自分の作品を世の中に送り出すと思えばどうってことのないただの作業に過ぎません。
文章だけ見れば大量の手間があって大変そうに見えるかも知れませんが、企画制作からリリースまで全部合わせて今回のトータル実作業時間はたぶん24時間いかないくらい。
たったそれだけの時間で自分のオリジナルのスマホアプリをiOS/Android両対応で世の中に送り出せるという事実。
面白いと思いませんか?
最後に。
今回のゲーム「スライディングスライム」は入門用動画のために短時間で作ったものですが、思いの外ゲーム性が良かったのでリリースすることになりました。
ゲーム制作においては、企画を前もってきっちりと定めるよりも、実際に作りながら考えて行くことで、時に制作者本人も思いもよらない面白さに辿り着くことがあります。そうした時は、その面白さを育ててやればいい。
「ゲームはアイデアが命」
今回、その意味を改めて深く感じました。
ゲーム作り。一歩を踏み出せば案外簡単で、本当に楽しいです。興味のある人はぜひ試してみてください!
PS.
繰り返しですが、前回記事で5本のアプリの作り方を一挙公開しているので、興味のある方はこちらからどうぞ。
あと、やっぱり「百聞は一見に如かず」。
ぜひ面倒くさがらずにアプリそのものをDLしてプレイしてみてもらえれば幸いです。
■ スライディングスライム